アニメーション作家 高橋生也のはじまり
こんなものができました
おひとついかがですか?
お口に合えばいいのですが
そういって
どこかで見たことあるような、
そうでもないような生き物が、
モジャモジャな大きい手で、
小さな女の子に甘いのかしょっぱいのかわからない、
でもなんだか美味しそうなお菓子のようなものを差し出した
差し出された女の子はにっこり笑って、
お菓子のような、なんだかわからないものをほおばって、太陽のように笑った
高校2年生のうららかな日
教室から窓の外を眺める
春の陽気に誘われて、カーテンがダンスする
ふわり ふわり
ふと
カーテンの向こう側はどうなっているかと考える
当たり前にいつもの外の風景が広がっているはずだ
でも知っているようで知らないのかもしれない
ある時突然、向こうにある風景は変わるかもしれない
僕の気持ち一つで、その先に拡がる景色は変わっているのかもしれない
ピンク色の桜が舞い散る
春は待ち遠しいのに足早に去っていく
「進路希望表は月曜提出だからなー」
先生がそろそろ将来を考えろと現実に引き戻す。
前から進路希望表が回ってきて、僕はいつものように後ろに回した。
ジワジワとこの時が近づいてきたなと僕は紙とにらめっこしながら、思いつく職業を思い浮かべてみた。あいにく教科などに好きなものが特になくて、やりたい仕事がその中に見つからない気がしていた。
一つを除いては、、
フツーの大学に行くか、もう一つの特殊な大学に行くか、、
悩みに悩んだ。
そうこうしているうちにあっと言う間に半年ほど過ぎた。冬がきて、いつの間にか模試の時期になっていた。
希望したフツーの大学の判定は中々上々だった。
このままこの大学に入って、フツーに就職して、、
ふとそんなお決まりの人生が浮かんだ。
もちろんそういう人生も悪くないのだろう。
でも僕は?
そう生きたいのかな
いや、やっぱり、、
僕は、唯一好きな教科、美術を仕事にする為、美大を受けることに決めた。
ここから美大に受かる為、猛勉強が始まった。
目指すは油絵科。
しかし、現役ではその夢に手が届かなかった。