大田誠師

ミュージシャン 芥 大田誠師のはじまり

ふ-へん【普遍】

1 全体的に広く行き渡ること。

  例外なく全てのものに当てはまること

 例 「人類普遍の原理」

2 哲学の用語。

  宇宙や世界の全体に関して言えること。

  特殊・個物に対して、ある範囲の全ての物事に共通する性質

  解説;三角形には二等辺三角形、正三角形などの種類があるが、共通している事は“三角形”であるという事。

                            国語辞典より

1980年9月16日 鹿児島県 薩摩川内市(さつませんだいし)樋脇町市比野に僕は生まれた。

この地名がわかる人は、よっぽど地元に近い人だけだろう。一般的に、鹿児島といえば桜島のイメージだろうけど、僕の生まれ育ったところは原発のある町だった。

緑豊かで、のどかな、のどかな田舎町。

父の大田家の血筋はなんだか暗めな魂の持ち主で、母の家系はすこぶる良い人達で、母も理不尽なことがあっても、擦れない、根が正しい人だった。

僕は、2人の子供らしく大田家仕込みのどろっとした部分と、母の明るい、いい側面を継いだようだ。父のはちょっと言い訳だけど。ハッピーラッキーボーイには決して育っていないような気がする。

それは、小学校の時、両親が一度離婚して、小学校高学年あたりでまた寄りを戻したこともちょっぴりあるかもしれない。

僕の音楽に触れた最初は、ちょうどその辺りだったか。今となってはうろ覚えだけど。

中学生の時、周りではじわじわとフォークブームがきていた。

あの有名な某漫画雑誌にもフォークギターの広告が大々的に載っていたり、時代的にもそんな流れがあった。

鹿児島は偉大な歌手も輩出しているし、みんな無意識に憧れがあったのかもしれない。

僕も周りに影響されて、弾いてみたいなと思っていた。

母に何気なく

「ギターがほしか」

「あるよー」

母はさらっと答えた。

子供の頃、母がギターを弾いていた記憶はない。

それもそのはず、母はかぐや姫や南こうせつに憧れて、フォークギターを買ったようだったが、弾けずにそのまま押し入れに入れていたらしい。

ほぼ新品のフォークギターを僕は苦労なく手に入れた。

ポロン、ポロン

濃い緑の山々に、なんともいえない優しいフォークギターの音色が響いた。

僕はそれで十分満足した。

ちょっと弾けた気になって嬉しかった。

それからは、コードの譜面を買ったりして、自己流でポロンポロンと時間が空くと弦を弾いた。

その頃は、絵を描くのが好きで、どちらかといえば絵を描く方に熱量があった。

絵を描くことが自分に合っていた気がしていて、市のコンクールでは賞をもらったりした。

デパートに絵が張り出されると、母と見に行った。賞をとった僕は誇らしかったし、母も喜んでくれていた。

ユニコーンを好きになったあたりで、解散してしまって、なんだよせっかく好きになったのに解散するのかよーなんて、気づくと音楽は僕の生活に馴染んでいった。

長渕剛や奥田民生、チャゲ&飛鳥、マッキー、、

いつの間にか、確か文化祭きっかけで音楽好きが集まってコピーバンドをやるようになっていった。

中学生活は部活があった時は、新聞配達→朝練→授業→夜練だったが、3年で引退してからは、部活に当てていた熱量をバンドにぶつけるようになっていった。

僕がアコースティックギター兼ボーカルで友達がアコーディオン。

なんだか今考えれば、なんか不思議な組み合わせだけど、お金のない中学生が、音楽室から借りられて持ち運びできるものなんて選択肢があまりなかったのだ。