劇団SnowGrouse はじまりのstory(大学生 音渡津 暁美さん)
ミュージカル
それは非日常を届ける世界
舞台の上で夢を魅せる世界
それが、日常になるなんて、想像もしなかった。
劇団SnowGrouse
コロナ禍に設立されたミュージカル劇団である。
ミュージカルを身近に、福祉と文学を添えて届けたい。
部長の想いに共鳴して11人の女子校演劇部卒業生が大学生になって立ち上げた小さな劇団。
コロナ禍の設立。旗揚げ公演は自粛。
それでも、劇団を名乗ることにこだわる理由がある。
私は、現在大学で動物系の勉強をしている。
ミュージカルの劇団員というと、幼少期から特殊な訓練を受け、専門の学校に進んだ人を想像する人が多いだろう。しかし、SnowGrouse団員の進学先にミュージカル専攻はほとんどいないという事実を皆様に覚えていてもらいたい。
私自身も、高校に入るまでミュージカルが特別好きだという意識があったわけではない。
今になって振り返れば、祖母に連れられてこどもミュージカルのようなものを観に行ったり、読書が好きであったり、ダンスやピアノを10年ほど習っていたことなど、今につながる経験はたくさんあったのだ。しかし、どれもミュージカルというものを自分の生活に構築するきっかけにはなり得なかった。
同じように、音楽に関わる何かを習っていたり、読書や映画鑑賞などの趣味を持っていたり、ミュージカルや演劇を学校などで観に行ったことがあるといった人は多いのではないだろうか。
中学生までの私も、あなたと同じような感覚だったと思ってもらえれば、拙い文章でも少しは共感と想像で補足されると願いたい…。
それは、私が高校一年生の文化祭だった。
時間が余ったので、上演中の劇を観ようと思ったのだ。
ほんの軽い気持ちで、時間つぶし程度の感覚で。
けれども、そこで私は、人生が変わったと思う瞬間が確かに存在すると知った。
演劇部という名の中高一貫女子校ミュージカル部は、まるで個性と才能の集まりだった。
主役を含め、主要キャストを演じた同じ年とは思えない高校一年生の面々。引退を控え重要な役どころで舞台を支えた先輩方。高校生に負けない迫真の演技をする中学生。
その舞台に、想いの熱量に、ミュージカルというものに、魅せられた。
高校一年の秋、私は演劇部に転部する。