バースデーランウェイ主催者 ナカハラユウカのはじまり
当日は曇り。残暑で暑いのに緊張で心臓が震える。
私は舞台袖からモデルさんを見つめていた。
モデルさんと一緒に向き合った3ヶ月間。いろんな想いがこみ上げる。
重厚感のある音楽が会場に流れ、全身を揺らす。
いよいよだ。高鳴る心臓。思わず手を握りしめる。
カツッカツッ
軽快な足音を響かせ薄暗い舞台袖から、眩しい舞台へモデルさんが歩き始める。
一歩、一歩、未来のなりたい自分に向かっていく。
照明の光がモデルさんを包み、キラキラ輝く。
なんとも言えない、感動が全身を駆け抜ける。
光の中から戻ってきたモデルさんは、次のモデルさんにまるでバトンをつなぐように
トンっと、背中を優しく叩き合って応援しあう。
その姿を見て、私はそれをもう一度見たい。そう強く思った。
もうやらないと思ったのに、終わってみるとやっぱりバースデーランウェイを始めた時と同じことを思った。
“バースデーランウェイ”は誰かがこれからの人生に一歩踏み出すきっかけになる。
モデルさんも、そして観客の方も。
必ず、誰かの支えになる。
私は今、第2回目のバースデーランウェイの開催に向けて全速力で走っている。
ウィルスの拡大で一時は延期となっていたが、大きな会場でできることになり、みんなのモチベーションもさらに上がってきている。
だからこそ何としても成功させたいと、クラウドファンディングにも挑戦した。初挑戦の試みは怖いところもあったけど、終わってみると多くの方に支援だけではなく、涙の出るくらい暖かい言葉を、勇気をもらうことができた。
こんなに応援してくださる方がいるなんて、クラウドファンディングを始める前は思ってもみなかった。パワーをたくさんもらって、私はまだまだ強くなれる。
私はバースデーランウェイを立ち上げて、初めて自分の足で歩き出した感覚があった。
自分の思いから生まれたこのプロジェクトは、紛れもなく私の人生そのものだ。
自分でも言葉で表現できないほどの“想い”がこもっている。
初めて主催で行う今回のバースデーランウェイは、同じ想いで繋がったスタッフがSNSで集まってきてくれて、そんな仲間と作る今回のショーは前回とはまた違う景色が見られるんだろうなとワクワクしている。
『このままでいいのかなぁ』
人生に悩んだり、生き方に漠然とした不安を抱えていたり。
私もずっとそうだった。毎日のように自分自身と葛藤していた。
答えが分からなくて、当時はすごく苦しかった。
そんな時、いろんな人に背中を押してもらったり、生き方そのものを改めて考え直すきっかけをもらったりして、自分と向き合い、人生の軸を見つけて、自分の本当にありたい姿を知ることができた。
私も誰かの背中を押せる人間でありたいし、そんな場所やきっかけを作っていきたい。
これは私のずっと変わらない軸。
大切な自分自身の軸を見つけて、自分らしい靴で、ありたい姿を見つけて歩いて行ってほしい。
始めの一歩は小さく感じるかもしれないけど、それが人生で一番大きな一歩になると思うから。
わたしは呪いのくつを脱ぎ わたしらしいくつで 歩き始めた
時々石が当たっても もう大丈夫
わたしにはわたしの大切な“軸”があるから
わたしは自分のランウェイを走っていく
わたしらしいランウェイを
※この小説は、出演者本人のインタビューを元に、Sainomedia編集部で創作した小説となります。