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インクデザイン合同会社 代表社員 鈴木潤のはじまり

デザインはお客様のコンセプトを具現化する仕事。

そしてデザインの入り口は多分言葉。

“聞く”から始まって、まず言葉でアウトプットする。だけど言葉、文章だけだとわかりにくいので、ビジュアル要素を整えてデザインする。

僕はデザインをする時、お客さんがいるコトなので謙虚に向き合いたいと常に思っている。ただ、どんなに経験を積んでも、人が人である以上、どうしたいか真意を汲み取るのはとても難しい。言われたことだけが正しいとも限らない。もしかしたらそれが間違っているかもしれないという仮説も必要だ。経験上、こっちの方がいいんじゃないかという鬩ぎ合いもあったりして難しいがゆえにハマった時の瞬間が快感で、面白さが半端ない。

苦しくてもうこんな仕事辞めてやるって2日に1回ぐらいは思うくせに、ずっと面白くてずっと面白いが続いている。ずっとコレをやれるだけで幸せ。この瞬間の嬉しさは病み付きでこの仕事は辞められない。

現在、会社は一緒に働く仲間も増え、おもにIR(投資家情報)などを中心に、その企業が発信する情報や、企業の見え方、働き方まで、会社全体をデザインするというコンセプトで会社全体のデザインに関わっている。

コロナ禍で会社はテレワークに移行して始めは戸惑ったけど、自分でいうのもなんだけど、いいチームになってきたなぁと。

でも、そんな安心感ってヤツは足元をすくうのは分かっているから気を引き締めつつ、僕自身が成長をしなければと切に思う。仲間が増えたことで個人商店から会社にならなければならない。そのための基盤作りが重要だなと日々考える。

また、東京の他に茨城に拠点を置き、地方での活動・営業も始めた。

地方での活動は生まれ故郷の茨城を18歳で離れ、その時置いてきてしまった茨城での社会人としての活動を“忘れ物を取りにいく”感覚。

『地方にはいい企業がない』という求職者の声。
『地元の優秀な人材は皆東京に行ってしまって』という企業の声。

このミスマッチはもしかしたらクリエイティブの力で解決できるのでは?
そんなことを考え、あくまでもビジネスとしてその問題解決をクリエイティブの力でやりたいとそんな想いで、茨城の企業の想いを伝える仕事メディア“いばしごと”を始めることにした。

地元への貢献にこだわるからこそ、あくまでも“いばしごと”を“ビジネス”として成立させ、地元の経済が循環する仕組みを作りたい。

パシャリ。

仕事でパンパンになった頭を、クールダウンするのに何も考えずに感覚だけでカメラのシャッターを切る。

僕は今も昔も美術館などにあまり行かない。デザインの根底にあるものは、幼い頃に夢中になったロボットやアニメ、音楽…とっくに学生じゃなくなったのに、僕は今だに中二病なのかもしれない。

散歩しながら写真を撮る。コレが自分のインプットの一つになっている。

僕が口下手でなかなかイメージを具現化できなかったのが、写真を始めるきっかけ。

実は写真を撮ることはデザインのトレーニングも兼ねてたりする。怠けるとメキメキと腕が落ちる。僕はできるなら老いさらばえても最後までデザイナーとして手を動かしていたい。下りエスカレーターを上るようななかなかハードな自分との戦い。

今日も通勤で自転車を軽快に漕ぐ。

そんな時間も何気に大切な時間なのかもしれない。

流れていく景色に、移り変わるまちの香り。

時々降りてはカメラを構える。

僕はぼうっと景色を眺めながら考える。

文章や言葉は表現として強いけど、その分受け手に負担もかかる。

ビジュアルは直感的にわかりやすいけど弱い。そのバランスをとるのがデザイン表現かもなと。

僕は割と最近までお客様の思っている事を伝えるのがデザインのひとつの正義のように思っていた。だけどコロナ禍になって、一方的な伝えたい想いは人を傷つけることがあると身を以て知った。悪意がなくても人を傷つけることがあって、アウトプットは何かしら人を傷つける要素を含んでいるんだと。でもだからと言ってアウトプットを止めるのはなんだか時代を止めるような気がする。考えた上でアウトプットすることが重要なんじゃないか。

あくまでも僕の考える会社のデザイン定義って今はこんな感じ。

人と人、人と社会、会社と社会との接点というか潤滑油がデザインで、色や透明度、カタチはそのときによって変わる。色を帯びたり、ちょっと見えなかったり…なので必ずしも伝わらなくてもいいと考えている。

“伝わらなくていい”というのは、人を傷つける要素を含んでいると思うから、もしかしたら、誰かの強い“伝えたい”気持ちが、誰かにとってのマイナスになることは本意ではないと思う。デザインがあることで、潤滑に円滑に傷つかずにいられるんじゃないか。

“伝える”じゃなく、“分かりやすい”。これは受け手側の気持ち。

そういえば僕の名前も“潤”。

偶然なのかなんなのか。

でもこういう考え方になることに運命を感じるし、意義があるんじゃないか。

僕の中でデザインは世の中の人と人の潤いになったらいいなぁ。そしたら僕がこの名前を親からもらった意味もあるってもんだしななんて考えたり。

最近思っている僕のパンチライン。

“デザイナーは職業じゃなくて生き方”だ。

僕はずっと幸せな失神をしたまま。

デザイナーとして生きていく。

まだまだゴリゴリのデザイン会社として。

子育てと仕事の両立や、時間や場所にとらわれない新しい働き方の提案や起業・ベンチャーへのデザイン的支援など、これからのカイシャのカタチをおもしろくデザインしていきたい。

そして謙虚に 人に対しても世の中に対しても

そうあり続けたい

僕はそれを胸に 今日も自転車のペダルを精一杯 漕いでゆく

※この小説は、出演者本人のインタビューを元に、Sainomedia編集部で創作した小説となります。