やわらかん’s cafe オーナー 鈴木公子のはじまり
私は結婚を機に退社して、以前から温めてたぬいぐるみだけの旅行企画をやろうと思って、それに向けて動き出した。
WEB制作の学校や自治体の起業支援の塾に通ったり、現場でショップ運営やWEB制作を学ばせてもらったり。
どれだけ自分がぬいぐるみを大好きか、ぬいぐるみとの日々を綴るブログも開設した。
その中で、フェミニストが女性を尊重する方々を表すことばのように、ぬいぐるみを尊重するみなさまというイメージで、ぬいぐるみが好きで、ぬいぐるみの存在を尊重する大人の女性を“ヌイグルミスト”という言葉を編み出して“ヌイグルミストのスズキミ”として広めつつ、少しずつ準備を進めた。
起業支援の塾に通っていたそんなある日。
「こういうのがあるんだけど、出てみない?」
それは隣町の起業したい人のためのビジネスコンテストへの応募の提案だった。
隣町でアウェーな状況。だけど、私のこの起業モデルがどこまで受け入れられるか、試してみたい気持ちもあった。
ぬいぐるみツアーの企画で応募して、ファイナリストに残ることができ、最後は200名の前でプレゼンをすることになった。
大舞台に緊張で震えながら、カレイちゃんに背中を押されてプレゼンをし、いくつかの賞を頂くことができた。
あとでわかったことだけど、そのとき密かに宿っていた娘の力もあったのかもしれない。
このコンテストで、この企画が好感触だったことに勇気をもらって、出産や準備に2年ほど休み、子育てしながら無理のないモデルに変更して、ぬいぐるみたちのためのカフェをやろうと決めた。
私の心の中には、ぬいぐるみが命あるものとして尊重されるような、ぬいぐるみ権、、、みたいなイメージがずっとあった。
ぬいぐるみさんをおもてなしするカフェをつくるにあたって、 “ぬいぐるみの、ぬいぐるみによる、ぬいぐるみのためのカフェ”を店名でうまく表現したいなぁ。
アメリカの人々をアメリカンと呼ぶように、やわらかい人々なぬいぐるみを、やわらかんと表現して、sをつけて、〜の、〜による、〜のためのを含ませて“やわらかん’sカフェ”にしよう。
スタッフもお客さんも全てぬいぐるみ。
ぬいぐるみの、ぬいぐるみによる、ぬいぐるみのためのカフェ。
店長は、私の大好きで信頼してるカレイちゃん。
ぬいぐるみさんたちには、それぞれ性格があって、ストーリーがある。
それを踏まえながら、私はおもてなしのストーリーをカフェのぬいぐるみさんたちスタッフと考える。ここは、ぬいぐるみさんたちに命をふきこむようなそんなカフェ。
持ち主さんも思い出を一緒に楽しめるように、精一杯おもてなしするお店にしたいな。
ぬいぐるみの旅行会社から、ぬいぐるみカフェへ。
少しずつ形は変わったけど、私の願いは一つ。
ぬいぐるみ好きにとって、ぬいぐるみにとって心地よい社会になったらいいな。
今、ぬいぐるみで繋がった縁で、ぬいぐるみカフェというWEB上のバーチャルのカフェから、現実にあるカフェやお店と繋がって、“ナナシノ商店街”というものを作って、地元のローカルなあたたかい魅力を伝えたり、実際にあるお店にぬいぐるみを連れてのお買い物やカフェ利用歓迎の看板を置いてもらったり、ぬいぐるみや持ち主さんに優しい街になる野望を胸に活動の幅を広げている。
私は“やわらかん’sカフェ”をやることによって、メッセージを届けたい。
ぬいぐるみが大好きな、優しい頑張り屋さん。
私はぬいぐるみ好きさんを応援したい。
自分に自信がなかったり、頑張り過ぎちゃって自分がつぶれちゃう方もいたり。ぬいぐるみ好きなだけで、「嫌われるかも」「変に思われたら、、」ってコンプレックスを持っていたり。「私だけなのかも」と孤独や不安に思っている方も。
だから
「ぬいぐるみが好きなあなたでいいんだよ」
「そのままのあなたでいいんだよ」
やわらかく あたたかい
そんな輪が どんどん広がっていきますように
※この小説は、出演者本人のインタビューを元に、Sainomedia編集部で創作した小説となります。