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インクデザイン合同会社 代表社員 鈴木潤のはじまり

ハガキ、電話、100ちょいの応募をして、面接までいけたのは10何社くらい。なかなか厳しい就活だったが、そんなに思い詰めもしなかった。

やっぱりデザインができる会社に行きたい気持ちがあって、出版社やデザイン会社なども受けたが、当時は美大などデザイン系の学校を出てないと無理で、印刷会社でもデザインのようなことをやっていると聞いて、印刷会社を受けることにした。

僕は書類選考から面接に進むことができ、面接会場では採用担当者の前に同じようなリクルートスーツに身を包んだ就活生がずらっと並んだ。

「何か質問はありますか?」

面接の最後によくあるセリフを面接官が僕たち就活生に投げかける。

僕はすっと手をあげた。

「年間休日は何日ありますか?」

そんななんてこともないことを僕は聞いた気がする。内容はともかく手をあげた人は爪痕が残ったようで、次の選考に行くことが出来、僕はその印刷会社に入社することになった。

会社は業平橋にあって、何にもない、灰色の印象の街だった。

仕事は、パソコンで印刷物を作る、デザインとは言っても文字だけのデザインなど、オペレーションに近い仕事内容だった。もっとデザインをやりたいと思っていたので、デザイン会社に行きたいという気持ちは入社してからずっと心の中でくすぶっていた。

でも僕が入社した頃、ちょうど世代交代で同じくらいの世代の人がいっぱいいて、職場はとても楽しいものだった。とはいえ、デザインがやりたい気持ちは変わらなかったので、独自にアートディレクターやデザイナー養成講座に行ったりして勉強した。

そこではデザイン会社に勤める人との出会いもあって、いろんな話を聞く機会に恵まれた。

その中でいわゆる“イケてる”業界の人が、“っぽい”雰囲気を出しているように感じてしまうことがあった。僕は気づいてしまった。

僕はこういうのになりたいわけじゃない。

僕の目指す世界じゃ、ない。

そんな時、勤めている会社と同じような印刷会社で、将来を見据えて印刷会社でもデザインをゴリゴリやる“デザインができる印刷会社”を掲げるところが出てきて、業界で話題になった。

これかっこいいな。こういうのだよと、今の印刷会社の中でデザインをやれる方がカッコいいんじゃないかと、まずは会社の中にいながらやろうと思い立った。

僕は社長に直談判することにした。